西紋一級建築士事務所

これから、この住まいはどんな形になってゆくのだろう。

もう、大量生産の時代は終わり、その家庭の暮らしが形になった結果、住まいとなる。

そんなに大きくなくても、

そんなに豪華ではなくても、

そんなに新しくはなくても、

その家庭の『らしさ』が醸し出されたときに、最高の住まいとなるように思う。

僕が作りたいのは、

    『作品』ではなく、ストーリーなんだと思う。


寄り道。

人それぞれ、
そんなにたくさんの目的や目標があるのだろうか。


 落ち着かない車内を見ながらそんなことを考える。目的地までの時間の費やし方は、十人十色。といっても、最近ではやはり、スマホ派が多くを占める。
普段、通勤は車であまり電車は使わないが、現場が遠いと、電車の方が正確な時間に自分を運んでくれるので電車を利用する。そのためか、このような車内風景も、時に新鮮に目に映ることがあり、それはそれで楽しいが、時には仕事をしたり、小説を読んだりと自分なりに有意義な時の使い方を考えながら現場に向かう。
 片道1時間、現場最寄りの駅周辺をリサーチして見つけたお店。そこはパン屋さんだが、お店の中で軽く食事できるスペースがあり、この現場が始まった時から、なんとなく通っていた。

 現場ができたときには、こんなオアシスを探しておいて、ちょっとしたルーティーンとして実行する。ある日、いつものアイスコーヒーと40円のドーナツを注文し、そうゆっくりするわけでもなく現場のことを考えていると、店長らしき男性が出てきて、何やら入口周辺で打ち合わせをしている。こんなに早い時間なのにこんなにたくさんのパンが並ぶ店内、いったい何時からパンを焼いてはるんやろう、そんなことを考えていると、えっ、どっかで見たことがある顔。もし、違ったら嫌やなと思い、その日はなんとなくスルーしてしまった。
 あれから何度か、いつものルーティーンを実行したものの店長らしき男性は見かけられず。その間考えるに、いや間違いない!という結果に達した。もう25年も前、大学時代、そして大学寮時代。1回生から4回生までの4人1部屋で暮らした4年間。今の自分の大きな部分を形成したといっても過言ではないいわゆる青春時代。そう、その時代にお世話になった先輩だった。
 25年間、紆余曲折、自分なりに目的や目標を作りながらやってきた。確かにいろんな寄り道もしたのだろう、今もなお、目標に向かって走っている。たまには、コーヒーとドーナツを食べる時間のように、振り返ってみる時も必要なんだろうということか。
 そして先日のオアシスにて、いつもの40円のドーナツをプレートに載せてレジに並ぶ。厨房の方を覗くと、この前の店長らしき男性が。目が合った。まだ気づいていないが、僕が少しにやっとしてみると、25年の記憶も溶けたように、次の瞬間、先輩も微笑み返してくれた。

 

 その寄り道に人生がある、
  学生の頃考えた人生訓が蘇った。

堺・南大阪の地域情報 つーる・ど・堺 さんに紹介いただきました。