日本エコハウス大賞とカールチーズ味

大阪への最終便を待つ成田空港。

「もう、あの娘はほんまに…」相方が怒りながら携帯電話を切った。

「どうしたん?」あまりどうでもよかったが、一応聞いてみる。

「どうやったん?大賞取ったん?あかんかったん?、しつこく聞いてくるんやで。あかんかったわ、優秀賞やったわって言うたら、あっそう、やて、ほんまに何を知りたいんやろな。ほんまにしつこい。」

「ふーん、一応知りたかったんちがう」

せわしなく搭乗口を通過、疲労困憊とはこういうことか。

審査会が終わってからも、さまざまな思いが巡る。

 

数か月前、

「日本エコハウス大賞の大賞候補に選ばれたみたいやで!」

相方からの驚いた電話から始まった。

「候補、やろ。そんな大したことないん違うん。」

「いやいや、大賞候補は、4作品、全国で4作品やで!これ、結構すごいで。」

「へー、そうなんや」

「で、大賞は、公開プレゼンで決めるんやって、東京で!」

公開プレゼンとか、やったことがなく、どうなることか。

日が近づくにつれて、その不安みたいなものが大きくなってきた。

そして、1週間前あたりから、自分たちが作ってきた家がどういうものだったのか。

今までエコハウスや省エネを勉強してきた教科書を引っ張り出して、確認作業みたいなことが始まった。

 

わたしたちのエコハウスの軸は、新住協(新木造住宅技術研究会)。

断熱気密の考え方、設計、施工まで、研修会や同じ目標を持つ方々と切磋琢磨してきた。

省エネ、エコハウスとしての性能は、やればやるほど性能はあがる、やればやるほどというのは、お金をかければかけるほど、と言い換えることができるかもしれません。

省エネ、エコハウスの高性能さをアピールすることに、それほど魅力を感じることはなかった。

あくまで、その性能は住宅の基本性能であって、それを競う材料にすべきではないと考えた。

注文住宅、新築でも、1戸建てのリノベーションから、マンションリノベーションまで、今住んでいる方から、これから家を持つ方まで、省エネ、エコハウスの性能を説明し、クライアントに理解いただき進めることが大きな課題だと思う。その中で、関西での私たちの温熱に関する軸を持ちアドバイスできること、そして、それは特別であってはならない。

どれくらいのお金をかけて省エネ、エコハウスの性能を付加すると、どんな暮らしになって、どれくらいのランニングコストになるのか。勉強と、実際にエコハウスを作ってゆく過程で、その答えを手に入れた。

住宅建築設計の構成上、この省エネ性能がよい方向に導いてくれる、そんなイメージがあった。

今回、大賞候補に選んでいただいた南丸保園の家も、お引渡し後何度かお伺いさせていただいたが、ものすごい猛暑の日も、宅内に入ってみると本当に居心地よかった。相方と、私らも、あんな家に住みたいな…、とつぶやきながら帰ってきたことを思い出す。

そうこうしている間に、1週間が経ち、いざ東京へ。

朝7時発の飛行機に乗るため、関空入り。

この頃、ひとつの問題が。

プレゼン時に、マイクは1本なのか、2本あるのか…。(そんなに大きな問題では…)

相方がプレゼンを進める、そこに私が説明を付け加える(そんなにうまいことできるか…)

これは、マイクの数によって、大きくその掛け合いが違ってくる(漫才か…)

飛行機に乗っている間も、その話で持ち切りだった。(ホンマか…)

何度も何度も、5分のプレゼンを繰り返し、でも5分というのは長いようで案外短い。

飛行機で東京に行くと、飛行機に乗っている時間は短いものの、成田についてからが、結構遠い。

成田から東京ビッグサイトに向けての途中、新橋あたりで、少し早いが昼食を取ろうということになった。

駅内の中華料理やさん。駅内にもかかわらず、結構本格的な中華料理。

相方は麻婆豆腐定食、私は酢豚定食、それぞれ注文してから、

また、プレゼンのロールプレーイングみたいなんが始まった…

携帯のストップウオッチをスタート…

ところが5分経たない間に、先に私の酢豚定食が。お預け状態でプレゼンはつづく。

プレゼン終わってみると5分30秒くらいだったかか。

「んー、タイムオーバーやな。あ、いや途中酢豚定食来たから、その分のロスもあるけどな」

(はよ。食えよ)

最後の最後まで、私たちの住宅を皆に知ってほしいという一心で、練習はつづいた。

 

会場に入ったころには、もう緊張も振り切ったころで、もうなるようになれ、みたいな勢い。

4作品のうちのあとの3作品の方々にもお会いし、それぞれの住宅についてどんなものなのかわかってきたのだが、

そのエコハウスのスペックは、すさまじかった。逆に、ようここまで選んでもらったんやな、という感じであった。

審査会も終わり、結果は優秀賞。

審査員の方々とお話させていただいていると、不思議と目頭が熱くなり、相方と涙を流しながら。

すべて終わった安堵感から、それでも大賞を逃した悔しさ、また自分たちがやってきたことが間違いではなかったといううれしさ、自分たちにこんなチャンスを与えていただいたクライアント、協力業者さん、そして、建築設計や建築施工管理を学ばせていただいた先生への感謝の気持ち。たくさんの想いが入り混じったひととき。

すべて終わった。

さて、これから大阪へ。

最終の大阪への便。

飛行機に乗ってからも、疲れて疲れて眠たいのに、興奮して眠れない。

家に着くころには、ちょうど日付が変わった頃だった。

リビングの方から相方が、「こんなんあるで。」

そうそう、優秀賞やったんです。(笑)

 

 

悔しくても、うれしくても、

泣けるくらい一生懸命、仕事出来たらいいな

独立したころ、考えたひとつの仕事観。

 

来年もまた、頑張らなあかんと、

振り返ってみました。